家族

  • 祖母の宅、最終日。

せっかくばあちゃんと長く二人きりでいたのにまともな会話はあんまりなかったなあ。まだ元気だから問題ないだろうけどさ、それでもちゃんと喋りたかったなあ。いつも一緒にいるわけじゃないから共通の話題もないわけだけど、二人で黙ってテレビ見てばっかりっていくらなんでもだよ。機転効かせろよ、おれ。
じいちゃんのそんなに高くない給料を爪に火を点すような生活をしてまで貯めたのに、使い道は知らないばあちゃん。内職で一個1円しない部品とか組み立ててた人がポッとくれる「小遣い」が「10万」だってよ。「何のために苦労してきたの?」って訊きたいくらいだよ。「何でそんなに良くしてくれるの?」って。学費から生活費から全てばあちゃんの懐から出てるらしいんだよ。
じいちゃんはじいちゃんで、子供のときから働いて、それでもなにひとつ思い通りに行かないどころか、今現在も入院させられて家にすら居られないという。それでも文句ひとつ言わないわけ。結局、一生懸命働いて脚悪くして、稼いだ金で家族と脚の面倒(間接的に)見てる。
母方の祖父母(+母)のおかげで、こーんなに自由な生活させてもらっちゃって。申し訳ないよ、ほんと。
祖父はまあ自分の仕事を、何があっても、完遂するひとで、ちょっと違うんだけど、祖母と母は他人のことばっかりで終いにはノイローゼになるような人種で、おれもどうやらそうらしい。
他人の役には立ちたいと思うし、もっと言うと、そうでなければ存在意義すらないような気がする。現実は逆に助けられてばっかりのダメ人間なんだけど、うちの「家族」の生き方は、悪くないと思う。近い将来、誰かの役に立てたらいいけど。